もしもSNSの”いいね”をコンピュータに読み込ませるだけで、そのユーザがどんな人物なのかを、極めて正確に分析できてしまうとしたら、あなたはSNSの利用をやめるだろうか?
分析のレベルとその精度
スタンフォード大学の教授らによると、コンピュータによる分析を用いると、読み込ませる”いいね”の数に応じて、以下のようなレベルで分かってしまうという。
10いいね → 同僚よりもあなたのことがわかる
70いいね → 友人よりもあなたのことがわかる
150いいね → 両親よりもあなたのことがわかる
250いいね → 配偶者と同等にあなたのことがわかる
この分析が、いかに正確であるかを示すデータが以下である。
ユーザが白人か黒人か → 95%
ユーザの性別 → 93%
ユーザが男性同性愛者であること → 88%
ユーザが男性同性愛者であること → 88%
ユーザの支持政党が共和党か民主党か → 85%
ユーザがキリスト教徒かイスラム教徒か → 82%
これらに加え、ユーザの性格や心理的特性までもが予測できてしまうという。
こういったユーザに関するデータを駆使すれば、我々がどんなものを欲していて、どんなジャンルに興味があるのかを知られてしまうことになる。
本当に怖いのは、我々が自身ですら気づいていない欲求の内側を、彼らに知られてしまうということである。
しばらく欲しいものなんてなかったのに、不意に現れた広告に目が止まったら最後。
あなたはその広告で紹介されている商品が欲しくなってしまう。
SNSを日常的に利用することとはすなわち、欲求の内側を覗かれて、自分の情報を事細かく企業に提供することに他ならない。
そして、これらのユーザ分析の精度は、AIが用いられることにより今後も高まっていくはずである。
収集されたデータは大統領選にすらも影響を与えることができる
2016年、とある大統領選の結果が、世界中を驚かせることになる。
トランプ大統領の大統領当選である。
アメリカの45代大統領は、多くの世論調査で『ヒラリー・クリントンが当選するという』予想がなされていた。
しかし結果は、世間の予想を大きく覆すこととなったのはご存知の通りである。
実はこれにも、SNSのいいねが大きく関わっているのである。
収集したデータを元に、ユーザがどちらの立候補者を支持しているのか、どちらをよく思っていないのか、あるいは選挙に興味があるのかなどを分析し、分析の結果に応じて個別にメッセージを送る。
そのメッセージには、トランプの印象を高めるものもあれば、クリントンの印象を下げるものも含まれていた。
こういった心理操作により、アメリカの大統領線は多くの予想を覆す結果となったのである。
そして収集されたデータは別の心理操作にも応用される上に、今後もデータは集まっていくことから、その精度は極めて高いものになっていくと予想される。
最後に
普段我々が何気なく利用しているSNSだが、収集されているデータがどのように、どんなことに利用されているかは知らない人が多いだろう。
ネットを通じて人々のつながりを実現させた素晴らしいプラットフォームではあるが、利用には最低限の注意を払う必要がある。
コメント